「病院への付き添いが大変になってきた」「退院後も、できれば自宅で過ごしたい」。そんなときに知っていただきたい選択肢が、在宅医療です。浜松市の地域の特徴から、暮らしの場で医療を受けられる体制がなぜ大切なのかを考えます。



浜松の風景をモチーフにしたイメージイラストです。
浜松市は、まちなかから山間部まで暮らしが広がるまち
浜松市は、遠州灘、浜名湖、天竜川、北部の山々など、多様な自然に囲まれています。市街地、郊外、山間部では、住まいと医療機関の距離や、利用できる交通手段も異なります。[1]
車が暮らしを支える浜松で、運転が難しくなったら
浜松は、通勤や買い物、通院など、日々の移動を車が支える「車社会」です。市の交通計画でも、自動車への依存度の高さと、誰もが安心して外出できる移動手段の確保が課題となっています。(参考:浜松市地域公共交通網形成計画)
そのため、病気や加齢によって運転が難しくなったり、免許を返納したりすると、通院だけでなく、買い物や人に会いに行くことなど、暮らしのさまざまな場面で困りごとが生じることがあります。ご家族の送迎に頼る場合も、仕事や介護との調整が必要になり、ご本人と支える方の双方に負担がかかります。
医療を受けるうえでは、移動手段に加えて、身体の状態も大切です。玄関の段差を下りる、車に乗り移る、待合室で過ごす。一つひとつの動作が、病気や身体機能の低下によって大きな負担になることがあります。これは山間部だけでなく、市街地で暮らす方にも起こり得ることです。
「運転できなくなってから受診を控えるようになった」「車への乗り降りが難しく、通院のたびに疲れ切ってしまう」。こうした変化があれば、早めにかかりつけ医やケアマネジャー、地域包括支援センターへご相談ください。交通手段や買い物などの生活支援も含めて考え、病気や身体の状態によって通院が難しい場合には、訪問診療の利用を検討します。
高齢化と、暮らしを支える体制の変化
浜松市の「はままつ友愛の高齢者プラン(2024–2026)」では、高齢者人口の増加に加え、認知症のある高齢者や、ひとり暮らし高齢者の増加が見込まれています。以下の表は、同計画に掲載された2030年・2040年・2050年の人口推計です。[2]
| 年 | 総人口 | 65歳以上人口 | 高齢化率 |
|---|---|---|---|
| 2030年 | 752,174人 | 233,396人 | 31.0% |
| 2040年 | 707,669人 | 249,856人 | 35.3% |
| 2050年 | 657,052人 | 248,345人 | 37.8% |
出典:浜松市「はままつ友愛の高齢者プラン(2024–2026)」第3章・冊子5ページ。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」による浜松市の数値です。出典の表を見る(PDF)
65歳以上人口は、2030年の約23.3万人から2040年の約25.0万人へ増える見通しです。同じ推計では2045年の251,107人をピークに、その後は減少に転じます。一方、総人口も減るため、高齢化率は2050年に37.8%まで上昇します。高齢者の「人数」と「割合」の両方を見ながら、医療や介護の支援体制を考える必要があります。
年齢だけで在宅医療が必要になるわけではありません。ただ、病気が重なったり、歩行や認知機能が低下したりすると、通院を続けるための支援が必要になります。ご家族も高齢の場合や、仕事と介護を両立している場合には、ご本人だけでなく、支える方の負担も一緒に考えることが大切です。
在宅医療は、通院が難しくなった方の治療をつなぐ選択肢
訪問診療は、病気や身体の状態などにより通院が難しい方に対し、医師が計画的・定期的にご自宅などを訪問して診療するものです。[3]
例えば、脳卒中の後遺症や認知症、神経難病などで外出が難しくなった方、心臓や肺の病気で移動の負担が大きい方、がんの療養を自宅で続けたい方などが相談の対象になります。実際の利用については、通院の状況や診療の必要性を確認して判断します。
「まだ少し歩けるから相談できない」と、一人で抱え込む必要はありません。一方で、交通手段がないという事情だけで、必ず訪問診療の対象になるわけでもありません。まずは、どこに困っているかをお聞かせください。
診察に加えて、生活とご家族を支える連携が必要です
自宅での療養には、診察や薬の調整に加え、食事、排泄、服薬、介護の方法など、日々の暮らしを支える仕組みが欠かせません。浜松市も、在宅医療と介護を切れ目なく提供するための連携を重点施策に位置づけています。[4]
医師、訪問看護師、ケアマネジャー、薬剤師、介護職などが、それぞれの役割を持って関わります。病院での検査や入院が必要になったときには、病院と連携して対応を考えます。ひとり暮らしの方も、ご本人の状態や利用できる支援を確認しながら、療養の方法を一緒に検討します。

相談するタイミングは「通院がつらくなってきた」とき
受診のたびに疲れ切ってしまう、付き添いの調整が難しい、退院後の診療が心配。こうした変化があれば、かかりつけ医や病院の相談窓口、ケアマネジャーなどに、在宅医療について相談してみてください。
在宅医療を始めることと、最期まで自宅で過ごすと決めることは同じではありません。ご本人の希望や病状、ご家族の状況が変われば、その都度、療養する場所や支援の方法を見直します。
浜松市で在宅医療・訪問診療をご検討の方へ
うぐいす在宅診療所は、浜松市中央区中島を拠点に、通院が難しい方の在宅医療・訪問診療、緩和ケアに取り組んでいます。当院で訪問診療を受けている方には、24時間365日の連絡・対応体制を整えています。
浜松市は広いため、市内すべての地域に訪問できるわけではありません。対応の可否は、ご住所や診療内容、訪問体制などを確認して個別にご案内します。「自宅での療養はできるだろうか」という段階から、ご相談ください。
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参考資料
地域の情報は、2026年10月21日に以下の公的資料を確認して記載しました。通院負担についての説明は、地域の特徴を踏まえた当院の考えです。
